新潟県十日町市で中学3年生の樋口まりんさん(14歳)が行方不明になってから、4日が経過した(1月31日現在、5日目に入る)。

積雪が2メートル50センチを超える場所もある厳寒の地で、14歳の少女はどこへ消えたのだろうか。

警察は連日大規模な捜索を続けているが、依然として発見には至っていない。

そんな中、ネット上では思いがけない方向に関心が向かった。

娘の無事を祈り、涙ながらに取材に応じた父親に対して、「冷静すぎる」「違和感がある」といった声が上がったのである。

私はこの反応を知ったとき、なんとも言えない気持ちになった。

たしかに、事件や事故が起きたとき、人は「なぜ」を知りたがるものだ。

犯人は誰なのか、何が起きたのか、誰かに責任はないのか、と疑問を追求していきたい気持ちは私も同じだ。

でも、我が子が行方不明になった親に対し、SNSで「冷静すぎる」と断じることは控えなければいけないと考えている。

本記事では、なぜ父親に疑いの目が向けられたのかを整理しながら、その憶測がいかに根拠のないものであるかを丁寧に解きほぐしていこうと思う。

樋口まりんさんの父親に疑いの声が出た背景

まず、事件の概要を整理しておきたい。

樋口まりんさんは1月26日の夜、家族と夕食を終えた後、午後7時頃にリビングで姿を確認されたのを最後に、突然いなくなった。

家族は異変に気づき、午後7時50分すぎに110番通報。

気づいてから通報までの時間は約23分だったという。

現場は積雪が2メートル50センチを超える場所もある厳寒の雪国で、気温はマイナス3度以下。

携帯電話や財布は自宅に残されていた。

 

当初は上着や靴もなく裸足の可能性があると報じられたが、その後、黒色のジャンパーと黒色のブーツがなくなっていることが判明し、警察は情報を更新して捜索を続けている。

29日は警察が約50人態勢で捜索を実施。

30日には警察・消防・消防団あわせて約100人態勢で捜索が行われたが、大雪で足跡はすぐに消え、警察犬やヘリコプターも出動が困難な状況だった。

周辺は人通りが少なく防犯カメラも限られているため、捜索はさらに難航している。

31日からは捜索規模を縮小し、情報提供を基に継続する方針となった。

詳しくはこちらでまとめているのでご覧いただきたい。

真冬の新潟で行方不明になった女子中学生の樋口まりんさん、捜索が難航している理由
樋口まりん現在はどこにいる?不自然な点と捜索難航の理由まとめ新潟県十日町市で失踪した中3・樋口まりんさん。上着なし・スマホ放置・足跡なしなど不自然な点を整理し、現在どこにいる可能性があるのか、捜索が難航する理由を冷静に考察します。...

事件発生直後、X(旧Twitter)上では父親の証言をめぐる憶測が急速に広がった。

  • 「父親が冷静すぎる」
  • 「通報が早すぎて不自然」
  • 「家族間のトラブルを隠しているのでは」

といった声が相次いだのである。

これらの疑いは、限られた報道やインタビュー映像を基にした主観的な印象から生まれたものだ。

たとえば、父親が取材で涙をこらえながら話す様子を「感情が薄い」と解釈する投稿が目立った。

また、通報までの時間が約20分だった点を「拉致を想定していないのはおかしい」と指摘する声もあった。

過去の行方不明事件を無理に重ね、「似ている」との感覚で物語を構築する考察も散見された。

しかし、これらはすべて警察の公式情報に基づかない想像に過ぎない

事件の初動段階で情報が少ない中、「違和感」という曖昧な言葉が独り歩きし、想像が事実を上書きする形で拡散していったのだ。

人は不安を感じると、何かに理由をつけたくなる。

理解できないものを、理解できる枠組みに収めようとする心理。

それ自体は人間の自然な反応かもしれない。

でも、その「理解したい」という欲求が、根拠のない疑念となって誰かを傷つけるとき、私たちは立ち止まって考える必要があるのではないだろうか。

樋口まりんさんの病気療養と父親の対応

父親への疑いが的外れである理由を理解するためには、樋口まりんさんと家族が置かれていた状況を知る必要がある。

父親は取材に対し、娘が2025年暮れ頃から病気のため自宅療養中だったと明かしている。

「元気な時の方が少ない状態だった」という言葉からは、家族がどれほど娘の体調を気にかけていたかが伝わってくる。

その背景を踏まえれば、父親の行動がいかに合理的だったかが見えてくるはずだ。

①2025年末から続く療養生活

樋口まりんさんの療養は、昨年の暮れ頃から始まっていた。

具体的な病名は公表されていないが、「体調に波があり、元気な時の方が少ない」という父親の証言からは、日常生活にも支障をきたす状態だったことが推測される。

中学3年生といえば、高校受験を控えた大切な時期である。

その時期に学校を休んで療養しなければならなかった彼女の辛さ、そしてそれを支える家族の苦労は計り知れない。

十日町市の厳しい冬の気候が、療養生活をさらに過酷なものにしていた可能性もある。

豪雪地帯では外出もままならず、家の中で過ごす時間が長くなる。

そんな環境で体調不良と向き合い続けることは、精神的にも相当な負担だったに違いない。

 

②常に家族が気にかけていた体調の変化

療養中、家族はまりんさんの体調変化を細かく観察していたようだ。

父親は「夜、みんながいる中でいなくなるとは思っていなかった」と語っているが、これは家族の結束の強さを表している。

まりんさんがリビングから出ていく姿を見て、「風呂に行ったと思った」というのも、日常の習慣に基づいた自然な判断だろう。

しかし、わずかな時間で異変に気づいたのは、病状を考慮した警戒心の表れと考えられる。

療養中の子どもを持つ親であれば、少しの変化にも敏感になるのは当然のことだ。

スマホや財布を残したまま姿を消した点も、計画的な家出ではなく、突発的な事態だったことを示唆している。

③厳冬期の外出が命に関わるという焦り

1月下旬の十日町市は、積雪2メートル50センチ超、気温マイナス3度以下の極寒である。

療養中で体力が低下している娘が、そんな環境で外に出てしまったら、命に関わる。

父親はその危機感を誰よりも強く感じていたはずだ。

「万が一を考えると待っていられなかった」という涙ながらの言葉には、親としての切迫した思いが込められている。

もし通報が遅れていたら、取り返しのつかない事態になっていたかもしれない。

その焦りを「早すぎる」と疑う声があるが、それは療養生活の文脈をまったく無視した憶測でしかない。

 

④早期通報が最善の選択であった根拠

通報までの約23分という時間には、家族が自宅周辺を自力で探した時間も含まれている。

父親は「捜索願を出すのが早いのでは」というネット上の批判に対し、「万が一を考えると待てなかった」と説明している。

病状を踏まえれば、一刻を争う状況だと判断したのは当然のことだ。

元警視庁刑事の吉川祐二氏も、「雪国での捜索は目撃者が少なく難航するが、早期通報は時間を稼ぐ意味で正しい判断だった」と指摘している。

警察も家族の強い要望を受けて顔写真を早期公開し、全国から情報を集めている。

この判断が間違いだったと言える人は、誰もいないのではないだろうか。

 

⑤病状を考慮した警察の初動捜査

警察は事件・事故の両面から捜査を開始し、療養中という病状を考慮した聞き込みを徹底している。

交流関係や外出先のヒントを探りながら、防犯カメラやドライブレコーダーの確認も進めている。

大雪で捜索が難航している中でも、情報収集は継続されている。

病状が捜索の優先度を高めた点は、家族の対応が適切だったことの証拠と言えるだろう。

父親の判断は、娘を救いたい一心から出たものであり、疑念を向けられるようなものではない。

樋口まりんさんの家族を守るべき世論の反応

1月31日からの捜索規模縮小のニュースは、家族に新たな不安を与えているだろう。

行方不明から5日目、寒波が続く中で時間の経過への懸念は強まる一方だ。

父親は「みんながお前のことを思っている。本当に帰ってきてほしい」と切実に訴え、涙をこらえる姿が報じられた。

その姿を見て、胸が締め付けられる思いがした人も多いのではないだろうか。

幸いなことに、現在のXでは憶測に対する空気が大きく変化している。

父親を疑う投稿に対し、「神経を疑う」「想像だけで人を裁くな」「家族への二次被害だ」とする厳しい批判が相次いでいるのだ。

「今は犯人探しごっこをしている場合ではない」「家族がどれほど追い詰められているか分からないのか」「通報が早いことを怪しむ発想が理解できない」といった声が広がり、憶測を書き込む側が非難される構図が明確になった。

特に、「冷静すぎる」という指摘に対しては、「インタビューという限られた場で感情を抑えるのは当然」「泣き叫ばなければ納得しない社会の方がおかしい」と、その前提を否定する意見が目立つ。

ただし、一部で父親の話に「違和感」を感じるという投稿も残っているが、主流は無事発見を祈る声である。

 

過去にも、ネット上の憶測が当事者を追い込み、深刻な二次被害を生んだ事例は繰り返されてきた。

1994年の松本サリン事件では、被害者である河野義行さんが「犯人」として報道され、家族ともども凄まじいバッシングを受けた。

2016年の北海道男児行方不明事件でも、父親に対して根拠のないバッシングが起きた。

2019年の山梨キャンプ場女児行方不明事件でも、母親に対する根拠のない誹謗中傷が横行し、逮捕者まで出る事態となった。

私たちは、その教訓を忘れてはいけない。

「違和感」という言葉で責任を回避しながら人を疑う行為は、単なる考察ではなく加害行為になり得るのだ。

一番心配しているご両親のことを考えると、そこは本当に気をつけなければいけない。

今、多くの人が共有しているのは、「一刻も早く無事に見つかってほしい」という切実な願いである。

「早く見つかってほしい」「地域で協力しよう」「祈っています」という温かい声が広がっている。

全国から情報が寄せられており、警察は防犯カメラ解析を進めながら、引き続き十日町署(025-752-0110)への連絡を呼びかけている。

樋口まりんさんが無事に見つかり、家族のもとへ帰ることを、私も心から願っている。

女子中学生・樋口まりんが拉致された可能性について考察する
行方不明女子中3生は拉致された?新潟の過去の事件との怖い共通点新潟県十日町市で行方不明となった中学3年生の女子生徒。拉致の可能性はあるのか?過去に新潟で起きた拉致・監禁事件との共通点や地理的条件、雪の夜という状況から真相を冷静に考察する。 ...
女子中学生・樋口まりんは自ら出ていった説
新潟・中3女子は自ら出ていった説…自宅療養の理由が失踪のカギ新潟県十日町市で行方不明になっている樋口まりんさん(14歳)について、新たな情報が明らかになった。 父親の取材によると、彼女は2025...