2026年1月31日の夜、SNSに投稿された複数本の動画が、日本中を震撼させた。

栃木県宇都宮市の河川敷で、複数の少年少女が一人の少年を囲んでいる。

膝蹴りの連打。

腹部への執拗な攻撃。

そして最後には、冬の冷たい川へ突き落とす。

周囲からは笑い声が響き、誰一人として止めようとしない。

これを「いじめ」と呼んでいいのかどうかはわからないが、大人の世界なら少なくとも傷害罪、いや、殺人未遂と呼ぶべき犯罪行為だろう。

動画は瞬く間に拡散され、加害者とされる少年の個人情報がネット上で特定されたとされる

さらには「親が反社」という噂まで飛び交い、事態は混沌としている。

この記事では、事件の残虐性から加害者の背景に関する噂の真相、そして今後の法的処分の見通しまでを整理していこうと思う。

宇都宮いじめ動画に批判殺到

今回のいじめ動画は栃木県宇都宮市だが、動画を見た多くの人が同じ感想を抱いたのではないだろうか。

「これは、いじめなんかじゃない」と。

約1分ほどの映像には、田川沿いの河川敷(橋の下と推定)で20〜30人の男女が一人の少年を取り囲む様子が映っている。

被害者は抵抗することもできず、ただ蹴られ続けるしかなかった。

膝蹴りが何度も顔面や腹部に入る。

そして極めつけは川への突き落とし。

水深が浅かったとしても、暴行を浴びせた後に川に落とすなどという酷いことを、どうしてこの子供たちはやれてしまうのだろうか。

何より戦慄するのは、周囲から聞こえてくる笑い声だ。

人が苦しんでいるのを見て、笑える神経。

我が子がこんな感じになったらゾッとする。

親の教育や環境の影響を思わず想像してしまうが、それでもこの暴力は許されない。

これは明らかに異常な心理である。

 

SNS上では批判の声が殺到した。

「絶句した」「許せない」「退学・逮捕を」「日本は大丈夫なのか」。

「見るだけでトラウマになった」という人も少なくない。

社会全体への不安を訴える投稿も目立った。

動画を撮影し、SNSに投稿する行為自体も問題視されている。

暴力を「娯楽」として消費する感覚、自己顕示欲のために他人の苦痛を利用する心理。

共感力の欠如としか言いようがないが、彼らは心が傷まないのであろうか。

一部では、格闘イベント「ブレイキングダウン」の影響を指摘する声もある。

膝蹴りの連打や集団での囲み攻撃が、そのスタイルに酷似しているというのだ。

また、ヤンキー漫画「東京リベンジャーズ」のような作品が、不良文化への憧れを助長しているという見方もある。

もちろん、エンタメ作品が直接的に犯罪を引き起こすわけではない

私も不良漫画は嫌いではないが、バールを持って人を殴ったり、マフラーを切ったバイクで街中を爆走したいと思ったことはない。

しかし、暴力を「カッコいい」「強さの証明」と錯覚させる土壌があるのは事実だ。

 

令和のいじめは、SNSと結びつくことで「エンタメ化」している。

文部科学省の2025年報告では、いじめ認知件数が過去最高の70万件超え、うち動画関連が急増している。

動画を撮って投稿し、バズを狙う。

被害者の苦痛が、加害者の承認欲求を満たす道具になっている。

これが現代いじめの闇の本質だ。

笑い声が響く中、人が苦しむのを娯楽にする神経。

この時代に、そんな原始的な暴力がまかり通るはずがない。

さらに、2月2日時点でX上で類似動画の再拡散が見られ、社会的不安が続いている。

加害者Sの親が反社という噂の真相

事件の拡散とともに、加害者とされる少年の個人情報がすでにネット上で特定されていた。

名前、顔写真、通っている中学校、さらには家族の情報まで。

そして飛び交い始めたのが、「親が反社会的勢力」という噂である。

この噂の真偽を検証すると、ネット憶測の暴走が濃厚なのだが、彼らは彼らで子供たちの暴力がなぜ起きたかという整合性を取るためにそのような発想に至ってしまうのかもしれない。

現時点で言えるのは、公式な報道機関からの確認は一切なく、2月2日時点の読売新聞などでは個人情報拡散の危険性のみ指摘されている。

つまり、デマの可能性が極めて高いので、その手の情報にうっかり乗っかってしまうのもまた危ういと言えるだろう。

とはいえ、噂がどのように広がり、当事者がどう反応したのかを整理することには意味があるので、ここからはどのような噂が出ているかを整理してみたいと思う

①SNSで拡散された親の職業に関する噂

噂の発信源は、主にX(旧Twitter)である。

「親はヤクザ」「生活保護受給者が多い市営住宅に住んでいる」といった投稿が、事件発生直後から拡散された。

驚くべきことに、すでに加害者の住居まで特定されていたからだ。

これらの投稿は、地元住民からの「情報提供」を称するものが多かった。

加害者の名前、顔写真、学校名、家族の詳細とセットで広まり、合計で数十万以上のビューに達している

しかし、その根拠は不明で、匿名投稿の連鎖に過ぎない。

主要なニュースサイトでは、動画の拡散と教育委員会の調査については報じているが、親の身元や反社関連には一切触れていない。

むしろ、個人情報の無秩序な拡散が二次被害を生む危険性を指摘する内容が目立つ。

作新学院高校受験の噂も浮上しているが、これも未確認情報として受け取っておいたほうが無難だろう。

噂を鵜呑みにすると、ネット正義が新たな被害を生む危険があるのでそこは少し冷静になっていただきたい。

 

②父親本人がコレコレで語った否定内容

2026年2月1日、配信者コレコレ氏の生放送に、加害者とされる少年の父親が登場した。

父親は噂を明確に否定している。

「ヤクザではない」「生活保護も受けていない」と。

さらに、事件についても説明があった。

「いじめではなく、事前にSNSで約束した喧嘩だった」「被害者側との合意があった」というのが父親の主張である。

また、ネット上で名前が出ていた妹については「その場にはいなかった」と否定した。

この発言は親の立場として理解できるが、動画の内容と照らし合わせると疑問が残る部分も多い

子どもを守りたい一心で発言しているのだろう。

その守りたい気持ちや一連の発言については、同じ親として理解できなくはない。

その反撃的な姿勢に親心として共感する部分はあるのだが、どうしても世論を納得させるだけの説得力があるかどうかについては疑問が残るところはある。

③家族の主張と浮かび上がる矛盾

まず、コレコレの配信で加害者Sの父親が反論した内容について整理してみよう。

事件の性質:
集団リンチやいじめではなく、事前にSNSで被害者側から「喧嘩しようぜ」とやり取りがあり、1対1のタイマン(喧嘩)として合意の上でのものだった。

合意の存在:
お互いに被害届を出さないという約束があった。

いじめではない強調:
いじめではなく、喧嘩の範疇。学校でも問題として話をしているが、いじめ認定ではない。

落ち度認めつつ:
良いことではないし、落ち度はあるが、動画の印象ほど一方的な暴行ではない。

妹の不在:
ネットで名前が出ている妹はその場にいなかった。

親の職業・生活保護に関する噂否定:
父親自身がヤクザではない、生活保護も受けていないと明確に否定。

警察対応:
警察からは一方的な暴力を指摘された。周囲にいた高校生の一部は退学処分になっている。

父親の主張は「合意の上での喧嘩」だった。

しかし、動画を見る限り、20〜30人が一人を囲んで攻撃している。

これを合意の喧嘩と呼ぶのはさすがに無理がある。

被害者は抵抗できず、一方的に暴行を受けている。

周囲は笑い声をあげ、誰も止めようとしない。

被害者側からの確認も取れていない以上、父親の主張をそのまま信じることはできない。

むしろ、この弁明が「反省なし」という印象を強めている

これは熊本県のいじめ加害者にも言えることだが、一方的に暴力を振るっている側の言い訳ほど世論を敵に回すものはない。

熊本県山都町立矢部中学の生徒がチョークスリーパーをかけている
熊本中学生暴行の加害者に反省なし?逆・被害届が悪手である理由2026年1月、熊本県山都町立矢部中学校の生徒が起こした暴行事件。 SNSでバカみたいに拡散されたこの動画をみて、多くの人が胸を痛めた...

にわかに信じがたいが、加害者側にも事情があるのかもしれない。

しかし、動画の残虐さがすべてを物語っていると、われわれは感じ取ってしまう。

この令和の時代に、少なくとも被害者にとってドアウェーの状況に見える集団暴行が「喧嘩」で済むわけがない。

結論として、「親が反社」という噂については、現時点で根拠がない。

デマの可能性が高いと考えるのが妥当だろう。

ただし、だからといって加害者の行為が許されるわけではないし、たとえ反社であったとしてもそれは変わらないと一般人は考える。

この時代、こうした暴力は決して通用しないというのは、誰もが強く願うことなのだ。

噂の真偽と、暴行の事実は、全く別の問題である。

文科省のいじめ防止ガイドラインでは、こうした集団事案を重大視しており、早期介入が求められているが、現実は追いついていない。

身元特定で加害者Sはこれからどうなる?

ネット上で加害者の身元が特定されたとされることで、今後の展開に注目が集まっている。

警察は動画を把握し、暴行事件として捜査を進めている(2月2日時点で栃木県警が継続調査中)。

宇都宮市教育委員会も調査を開始し、市立中学校の生徒が関与している可能性を踏まえて事実確認を行っているところだ。

栃木県内の類似事件(例: 2025年真岡北陵高校暴行動画)では、動画拡散後に警察が事情聴取を行い、容疑者を特定するケースが増えている。

栃木県警の過去事例では、動画証拠で逮捕に至ったケースが複数あり、今回も同様の展開が予想される。

 

では、法的処分の見通しについても整理してみよう。

まず基本的なところとして、加害者が14歳以上の中学生であれば、少年法が適用される

傷害罪に該当する場合、家庭裁判所に送致され、審判を経て保護観察か少年院送致かが決まる。

14歳未満であれば、刑事責任は問われず、児童相談所での措置となる。

ただし、近年は少年法の厳罰化が進んでいる。

2021年施行の改正で、18〜19歳の「特定少年」には実名報道が可能になった。

重大事件であれば、成人と同様の裁判(逆送)が行われる可能性もある。

動画という決定的な証拠がある以上、何らかの処分は避けられない。

 

問題は、周囲で暴行を見ていた人間たちである。

20〜30人が囲んで笑っていた。

彼らも罪に問われる可能性があるし、動画を観た多くの人たちも彼らも共犯だと感じているのではないだろうか。

法的には、直接暴行に加わっていなくても、幇助罪(手助けした罪)が成立する可能性がある。

傍観者も無関係ではいられない。

それくらい「いじめ」「暴行」は『悪』だとしなければいけない。

 

ただ、現実には証拠不足で処分が遅れたり、加害者側が守られたりするケースも少なくない。

被害者が不登校になり、加害者は普通に学校生活を送る。

例えば、2021年の北海道旭川女子中学生凍死事件では、性的暴行やわいせつ画像拡散などのいじめが原因で自殺し、学校・教委が把握しながら適切な対応を怠り、加害者処分が不十分で被害者家族が再調査を求め続ける事態となった。

2011年の滋賀県大津いじめ自殺事件では、自殺練習強要や暴行が繰り返され、学校がアンケートを黒塗り隠蔽、加害者処分が書類送検のみで被害者家族が提訴を余儀なくされた。

そんな理不尽な状況が、これまで何度も何度も繰り返されてきた。

表に出ていない「いじめ」だって山ほどあるに違いない。

 

だからこそ、声を上げ続けることが大切だ。

SNSでの過度な私刑は望ましくないが、「これは犯罪だ」「厳罰を」という世論の声は、捜査や処分に影響を与える。

被害者が泣き寝入りしなくていい社会を作るために、私たちにできることがある。

2月2日現在、教委の調査結果は未公表だが、ネット世論の圧力が捜査を加速させる可能性が高い。

この事件を風化させないこと。

いじめは犯罪だという空気を社会全体で醸成すること。

そして、被害者が「一人じゃない」と感じられるよう、連帯の意思を示し続けること。

それが、今の私たちにできる、最も建設的な行動である。

加害者の更生を願いつつも、厳罰がなければ被害者は救われない。

社会が声を上げ続けることで、こうした闇を少しずつ照らしていけるはずだ。

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