岐阜市の沓井公園(くついこうえん)で、子ネコとニワトリが切断された状態で相次いで見つかった。

警察は、同じ人物による犯行の可能性を視野に入れて捜査している。

正直に言うと、僕はこのニュースを見た瞬間、嫌な予感がした。

動物がむごい殺され方をした、というだけの話ではない。

その殺し方と、殺した場所が、どうにも引っかかるのだ。

 

ネットでも「酒鬼薔薇の再来では」「次は人間に向かうんじゃないか」と、不安の声がかなり広がっている。

今回は、そうしたネットの噂レベルの見方も踏まえながら、この事件の何がここまで人を不安にさせるのかを、わかりやすく考えていこうと思う。

2日間で1.5km…不気味すぎる共通点

まずは、何が起きたのかを整理しておきたい。

最初の発見は、7月20日の朝7時ごろだった。

岐阜市の公園で、通りかかった人が子ネコの死骸を見つけて通報した。

生後5〜6か月のメスの子ネコで、胴体が切断された状態だったという。

首輪はついていなかったそうで、野良だった可能性もある。

 

朝の公園というのは、犬の散歩をする人や、通勤前に通り抜ける人が行き交う場所だ。

そんな場所に、切断された小さな命が転がっていた。

発見した人は「一番いやなのは、子どもに見せること」と語っていた。

この一言が、僕にはやけに刺さった。

 

そしてその2日後、7月22日。

今度は、最初の公園から直線距離でおよそ1.5km離れた住宅で、ニワトリの死骸が見つかる。

飼われていたニワトリが、頭を切断された状態でケージの外に置かれていたというのだ。

子ネコと、ニワトリ。

種類は違う。

だが、どちらも「切断されている」という一点で、不気味なほど共通していた

 

しかも、最初の現場となった公園は、新岐阜駅からそう遠くない、ごく普通の住宅街の中にある。

山奥でも、人けのない空き地でもない。

毎日たくさんの人が生活している、その真ん中で起きているのだ。

この「日常のすぐ隣」という感覚が、余計に人をざわつかせる

ネットでも「あの駅の近くじゃないか」と、場所を知る人たちがざわめいていた。

2日間で、1.5km。

この距離感と時間の近さこそ、警察が「同じ人物の犯行では」と見る最大の理由だろう。

岐阜県警は動物愛護法違反の疑いで捜査を始め、周辺のパトロールを強化していると発表した。

ここまでは、確認されている事実の話である。

問題は、この先だ。

酒鬼薔薇も最初は猫だった

このニュースが流れたとき、ネットで一番多く見かけたのが「酒鬼薔薇」という言葉だった。

1997年に神戸で起きた、連続児童殺傷事件。

少年Aこと「酒鬼薔薇聖斗」を名乗った犯人が、幼い命を奪ったあの事件だ。

 

僕もまだ若かった頃に、あの事件のニュースを見た記憶がある。

日本中の人があの事件に注目していたし、犯人が捕まった時はあまりに衝撃的で、しばらく頭から離れなかった。

大人たちが深刻な顔でテレビにかじりついていたのを、今でも覚えている。

まだ社会のことなどよくわからない年頃だったが、何かとんでもないことが起きている、という空気だけは肌で伝わってきた。

同じような感覚を持っている人は、40代以上ならきっと少なくないはずだ。

 

あの事件が今また持ち出されているのには、理由がある。

犯人が、最初は猫などの小動物への虐待から始めていた、という経緯が後に明らかになったからだ。

少年法改正のきっかけにもなり、当時の日本を震撼させた事件である。

だから「猫の切断」と聞いた瞬間に、あの記憶が引っ張り出されてくる。

「近所にとんでもない人物が潜んでいるのでは」と不安になるのも、無理はないと思う。

実際、海外の研究でも、動物への虐待と、人への暴力やDVとのあいだに関連があると指摘されている。

まったくの見当違いな連想ではないのだ。

ただ、ここは冷静に線を引いておきたい。

動物を虐待した人間が、必ず人へ向かうわけではない

そこまで断定してしまうと、それはそれで乱暴な話になる。

けれど、重大な事件を起こした人間の過去に、動物への虐待がよく顔を出すのもまた事実である。

白でもなければ、黒でもない。

この灰色をそのまま受け止めたうえで、もう少し犯人像を掘ってみたい。

得がないのに見せつける犯人像

もし、これが人間の仕業だとしたら、それはいったいどんな人物の仕業なのだろうか。

僕がこの事件でもっとも引っかかっているのは、実は「切断」そのものではない。

犯人にとって、何の得もないという点だ

 

考えてみてほしい。

猫やニワトリを盗んで売るわけでもない。

食べるために殺したわけでもない。

畑を荒らす害獣を駆除した、という話でもない。

つまり、普通の犯罪にある「動機」が、まるで見当たらないのだ。

 

さらに不可解なのは、その置き場所である。

公園や、住宅のケージの外。

どちらも、人の目につく場所だ。

こっそり山に埋めるのでも、こっそり川に流すのでもない。

まるで「見つけてくれ」と言わんばかりに、堂々と放置している

隠す気がまったくないように見えるのである。

 

ここに、この事件の一番嫌な輪郭が浮かんでくる。

得がないのに、わざわざ人目につく場所でやる。

これはもう、行為そのものが目的になっている可能性が高い

ちょうど、かまってほしくてわざと物を壊す子どもが、叱られるほど嬉しそうに繰り返すのと同じで、反応が返ってくること自体が報酬になってしまっている——そんな構造が透けて見えるのだ。

 

しかも、狙われているのは子ネコとニワトリだ。

抵抗できない、弱い相手ばかりである。

強い相手には向かわず、声をあげられないものを選ぶ。

そういう卑劣さも感じなくはない。

 

もうひとつ気になるのが、猫の次がニワトリだった、という順番だ。

公園にいた野良の子ネコと、住宅で飼われていたニワトリ。

場所も、狙う相手も、きっちり変えている。

つまり、ある程度その地域を歩き回れる、土地勘のある人物という可能性が見えてくる。

正直に言うと、ここまで書いていて薄ら寒くなってきた。

近所を平然と歩いている誰かが、裏ではこんなことをしているかもしれない。

そう思うと、なんとも落ち着かない気持ちになる。

もちろん、これはあくまで「人間の仕業だとしたら」の話だ。

だが、そう考えると、どうにも背筋が寒くなってくるのである。

アライグマ説の意外な説得力

ここで、少し話を引き戻したい。

ネットの反応をよく見ていると、恐怖の声ばかりではない。

「それ、アライグマの仕業じゃないの?」という、冷静な指摘も混ざっているのだ。

少し盲点だったが、この指摘はあなどれない。

 

というのも、過去に似たようなケースがあったからだ。

静岡県の袋井市で、猫の死骸が見つかって「人為的な切断では」と騒がれたことがあった。

ところが、その後の鑑定で、野生動物がかみちぎったものだと判明したのである。

人間が刃物で切ったように見えても、実際は動物の仕業だった。

そういう例が、現実にあるわけだ。

 

今回のネットの反応を見ていても、「カラスの仕業なら、子猫は頭だけ残るはずだ」といった、妙に具体的な指摘まで飛び交っている。

みんな、それぞれの知識を持ち寄って、必死に説明をつけようとしているわけだ。

この「なんとか筋の通る答えがほしい」という気持ちも、裏を返せば、それだけ不安が大きいということなのだろう。

 

日本の住宅地には、思っている以上にアライグマやハクビシンが入り込んでいる。

だから「切断イコール人間の犯行」と即断するのは、たしかに早い。

ただ、今回のケースには、その説だけでは説明しきれない部分もある。

 

2日のあいだに、1.5km離れた2か所で、別々の動物が同じように切断されている。

しかも、ニワトリはわざわざケージの外に出されていた。

野生動物が、飼育ケージをこじ開けて中の一羽だけを引き出し、頭を落として立ち去る。

そう考えると、少し無理があるようにも思えてくる。

警察が「人為的な可能性」を重く見ているのも、このあたりの不自然さが理由なのだろう。

 

偶然が重なっただけの、野生動物の食害と見るか。

それとも、明確な意図を持った人間の手によるものと見るか。

同じ事実を前にして、見方がここまで割れる

それが、この事件をただの動物虐待のニュースで終わらせない、不気味さの正体なのだ。

すべては切断面が知っている

では、この先、何がこの謎を解くのだろうか。

答えは、意外とシンプルかもしれない。

切断面である。

刃物で切られた痕なのか、それとも動物の歯による咬み傷なのか

そこを詳しく調べれば、人間か動物かは、かなりの精度でわかるはずだ。

 

その一点が、この事件が「単発の出来事」なのか、それとも「もっと嫌なことの予兆」なのかを分けることになる。

物言わぬ切断面だけが、真実を知っている。

そう思うと、続報の一言一句から目が離せなくなる。

 

もし、これが人間の仕業だとわかって、犯人が捕まったとしたら。

正直、その処分の軽さにも触れておきたい。

動物愛護法では、動物を殺した場合、5年以下の刑または500万円以下の罰金と定められている。

数字だけ見れば、決して軽くはない。

だが、過去の似たような事件を振り返ると、実際の判決は執行猶予がつくケースがほとんどだ。

「動物は物として扱われている」というネットの嘆きも、ここから出てきている。

このあたりの現実は、また別の機会にじっくり書きたいと思う。

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一方で、こうした不安を受けて、地元は動き始めている。

住民や地域の議員が「気になることがあれば、迷わず通報を」「みんなで見守ろう」と呼びかけ、警察もパトロールを強めている。

自分たちの町で起きたことなのだと、多くの人が受け止め始めているのだろう。

こういう時に、一人ひとりの小さな目が、いちばんの抑止力になる

 

いずれにせよ、今いちばん願うのは、これが野生動物によるものであってくれることだ。

そして、もし人の手によるものなら、エスカレートする前に一日も早く解明されることである。

あの発見者の人が言っていた通り、一番いやなのは子どもがそれを見てしまうことだ。

せっかくの夏の朝の公園に、あんなものが二度と転がらないように。

その一点だけを、静かに願っている。

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