2021年12月4日・5日にYOASOBIの初の有観客LIVEが武道館で行われた。
しかし、その時のボーカルikuraの歌が下手だということがネットで話題となっていた。
もちろん、どんな意見があってもそれを否定できるものではないのだが、YOASOBIに対してえらいネガティブキャンペーン的な話題だなという印象を受けた。
ネットというものは、良くも悪くも一部の意見が全体の意見であるかのような錯覚を起こしてしまう。
YOASOBIファンの僕が、今回、それがいかにおかしなことであるかを書いていこう。
YOASOBIのLIVEで見せたikuraの生歌が下手?
YOASOBIの初LIVEはどんなものだったのだろう?
実際の音については、こちらでチェックすることができる。
https://youtu.be/2X-_pazg0UQ
多少ピッチがズレてると感じるという意見があったものの、初の有観客ライブであることを考えれば、これで「ボーカルikuraの生歌が下手だ」と言ってしまうのはちょっと可哀想な気がする。
ただ、武道館でのLIVEはFC会員だけが見られる生配信があったので、実際に武道館で体感した人の感想と自宅で配信を観ていた人の感想とで違いが出てしまったことはわからなくもない。
そういう部分も踏まえて、どういう反応があったのか見てみよう。
- YOASOBI歌下手すぎんか??
- 生歌めっちゃ下手じゃん
- 結構、音外れてない?
- 思ったより声量ないんだなー
- 結局、テレビは口パクだったの?
- ikuraちゃんの歌声に感動して歌上手すぎる!演出も感動した!
- 最高に感動した… いつも全曲よく聴いていたから生で聴けて嬉しかった
- 生歌はもちろんの事、演出も凄かった。
- 生歌最高すぎて、感動しちゃった
- ikuraちゃんやっぱ歌上手い!
- 生歌と思えないほど、声が透き通っていて綺麗でした。
実際にSNSなどでYOASOBIの武道館LIVEの感想を拾ってみると、圧倒的に肯定的な意見の方が多い印象を受けた。
そもそもの話、高倍率のチケットをGETして武道館まで足を運んだファンが、わざわざそのLIVEを否定するという話がおかしい。
今回の武道館はYOASOBIの初の有観客ライブということもあって、演出や構成などもかなり凝っていたので、仮にikuraの生歌が気になったとしても、その部分だけを引きずってしまってる人はファンとしてちょっと微妙ではないか?と思うところがあるからだ。
とはいえ、自宅で生配信を観ている人の場合なら、ボーカルの力量にばかり目を向けてしまう気持ちもわからなくない。LIVEの醍醐味である臨場感を肌を感じることができないからだ。
ただ、そこで配信されている音源と比べて「歌が下手」っていうのは、ちょっと違うと思うのでその理由について述べてみたい。
LIVEで歌が下手というのはおかしい?
YOASOBIは「夜に駆ける」が2億4000万再生されてることからもわかるように、昔のようなLIVE叩き上げバンドではない。
令和という時代の音楽の在り方を象徴するようにYouTube動画の再生数こそが実力の証なのだ。
今の音楽シーンは、LIVEで実力を磨き、動員数を上げて、CDを沢山売ってナンボという世界ではなくなっているので、売れているからといってLIVEでも皆が納得するような実力があるかというとそういうものでもない。
いきなりそう書いてしまうと、YOASOBIがまるで実力がないみたいに誤解されてしまうかもしれないが、決してそうではない。YOASOBIのLIVEはちゃんとファンが満足するようなショーとして成り立っているのでご安心を。
ただ今回のように、ikuraの歌が下手だとか、テレビでは口パクだとか、その場で魅せるLIVEと配信されている音源をごっちゃにしている人が多いことには驚く。
かつて矢沢永吉が「ファンというものは幼い」と語っていたことがあったが、その幼いファンの声がSNSやネットの普及によって不必要に大きくなってしまっていることは純粋な音楽ファンからすると結構由々しい問題だと思うのだ。
そもそも、バンドやアーティストが正式に音源を録る時、LIVEのように一発で楽曲を合わせて録ることはない。
ボーカルだってバース毎に録音し、ピッチ(音程)がズレている部分はPCを使って修正しているので、実際のLIVEで多少ズレがあったとしてもそれは仕方がないことなのだ。
そのズレこそがLIVEの醍醐味なのであって、そこが気になるというのであれば、わざわざLIVEに足を運んでまで行く必要性はない。
本来、LIVEというのは、アーティストやバンドのパフォーマンスによって出される臨場感をファンが体感しに行くところなので、ピッチやリズムがズレてるだのといった重箱の隅をつつくような意見の場違い感がハンパない。
そのアーティストだからこそ出せる音や表現力というのは唯一無二だし、そこでファンとアーティストが共有する時間について外野がアレコレ言うのは違和感でしかない。というか、害悪以外の何物でもないと思うのは僕だけだろうか。
YOASOBIのLIVEの伸びしろ
僕自身、ずっと音楽が大好きでバンドも組んでた。一応、レコーディングもしてインディーズでCDを出した経験もあるが、やっぱり売れているアーティストというのはめちゃくちゃ才能もあるし実力があると思う。
ボーカルでも他の楽器でもそうだけど、人前で歌ったり演奏したりというのは、自信がなければなかなかできるものではないし、その自信を支えている陰の努力があるからこそできることなのだ。
YOASOBIの楽曲はカラオケでも難易度が高いとされているが、その難しい楽曲を世間に認知させたikuraの歌唱力なんかは凄い才能だし、かなりの実力があると思っている。
ただ、それでも初の有観客ライブが武道館というプレッシャーは考えただけでもエグい。
初めてのライブで、約7000人の観客の期待と視線が自分に注がれることを考えたら、いくら自信があることとはいえ、心臓がバクバクするし緊張もするだろう。
余談だが、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉も初めて武道館LIVEをした時、「ボンジュールジャポン♪」と歌いながら足が震えていたと雑誌のインタビューで答えていた(たしか武道館だったと記憶しているんだが、間違ってたらごめんなさい)。
THE YELLOW MONKEYこそライブハウスで人気に火がついた叩き上げバンドだが、それでもLIVEが始まってからしばらくは緊張が取れなかったというから、今回のikuraのプレッシャーも相当なものだったと思う。
そこでリップシンク(口パク)に逃げず、初の有観客武道館LIVEを成功に収めたのは素直に凄いことではないだろうか。
某掲示板では「下手ではないけど、声が出てない」みたいな意見もあったが、そういう緊張の部分やライブ・パフォーマンス等を考慮すれば、今回のikuraの生歌は個人的に上出来だったと思うし、この先のYOASOBIのLIVEには伸びしろしか感じない。
あのBUMP OF CHICKENだって、天体観測で売れた後しばらくはLIVE演奏が良くないと某音楽ライターに評されていたが、今では一流のライブバンドとして人気を博している。
逆に言うと、初の有観客ライブでネガティブな意見が出るのはそれだけYOASOBIの人気が高い証拠でもあるわけだけど、好きなアーティストのLIVEでの歌唱力が下手というこじつけに便乗する人を見ると微妙な気持ちになってしまうなぁ…。