少年野球で盗塁が禁止に?

現在、少年野球の公式試合で盗塁を禁止するかどうかが検討されている。

大きな理由としては、盗塁が阻止できないとワンサイドゲームになるからで、それが子供たちの野球離れにつながり、果ては野球人気の低迷へとつながってしまうからだ。

もちろん、少年野球の盗塁禁止については賛否意見が分かれるのだが、ネットの声を拾ってみると盗塁禁止に賛成する声が多い印象を受けた。

 

しかし、盗塁そのものを禁止にすると足の速い子の見せ場がなくなってしまって、せっかくの個性が活かせなくなるという反対の声もある。

だったら、リード禁止などである程度の規制に留めておくのがベターではないかという中立派の意見もある。

 

今回は、子供たちが野球を楽しめるようにするために生まれた、この悩ましいこの問題について双方の意見をまとめながらわかりやすく解説していこう。

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なぜ少年野球で盗塁が禁止に?

現在、全日本軟式野球連盟が、子供たちの野球の試合で『盗塁禁止』にするかどうかを検討しているという。

昨年出された少年野球の『ルール改革案』では、「盗塁は1試合に3~5回まで」「パスボール(キャッチャーのエラー)での進塁なし」といったことが盛り込まれているとのこと。

少年野球の場合、たとえば1塁から2塁への盗塁は走者側が有利だと言われている。

というのも、少年野球ではキャッチャーの肩が弱いため、ホームベースから2塁までの送球を考えると盗塁の阻止が難しいという穴があるからだ。

そのため、勝利に貪欲なチームはその穴を狙ってガンガン盗塁を仕掛けてくるため、本来の野球らしい試合ができなくなってしまうというのだ。

まだ身体的に成長途中である少年たちの年齢を考えれば、そこでムリをして送球することは肩やヒジの故障にもつながってしまうし、対戦するチームの力量差によってはワンサイドゲームにもなってしまう。

そうした理由から、少年野球での盗塁を禁止したほうがいいんじゃないかという声が大きくなってきたのだそうだ。

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盗塁禁止『賛成派』の意見

盗塁禁止派の意見として、盗塁を禁止する理由は大きく2つある。

ひとつは、送球による肩やヒジの故障を防ぐために、盗塁そのものを禁止にすべきだということ。

これは非常にもっともな話で、まだ骨や関節が未発達な状況で力いっぱい球を投げすぎてしまうと肩やヒジに重大な損傷を負うリスクが出てくることはよく言われている。

であるならば、せめて小学生の間は盗塁禁止にして、故障のリスクが少ないルールでやっていくのが好ましいと言えるだろう。

 

そしてもうひとつは、盗塁によって起こる牽制球の悪送球からくる失点をなくすべきだということ。

たとえば、小学4・5年生辺りだとまだ送球のコントロールが定まらないので、牽制の悪送球やパスボールなどで失点するのは“学童野球ではあるある”だ。

もちろん、そういうスキをついて一方的な試合になることもすくなくない。

そこで失点が重なってしまうと、子供たちのやる気が損なわれてしまうし、結果的に野球を楽しめなくなってしまう恐れが出てくるので、そこに配慮するということだ。

 

実際、ピッチャーやキャッチャーが盗塁を気にしないで済むようになれば、いきなり大きな点差が開くようなワンサイドゲームにならないだろう。

成長期の子供の身体や能力面においても、盗塁禁止に賛成するのは理にかなっているのかもしれない。

野球を楽しむ子供のイラスト

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盗塁禁止『反対派』の意見

次は盗塁禁止『反対派』の意見をみてみよう。

野球には、走りに力を入れている選手も多い。

そこで盗塁をなくしてしまっては、走ることが得意な子の個性が伸ばせなくなってしまうというのが主な理由だ。

たしかに思い返してみると、少年野球というのはチームによって実力差に開きがあるし、そのため盗塁で活躍する選手も少なからずいる。

ランニングホームランなんかもよくあることなので、走りが得意な子が活躍するのが少年野球の特徴とも言えなくもない。

 

さらに、盗塁を刺すことが得意なキャッチャーが活躍する場を奪うことになってしまうという理由もある。

5・6年生で上手いキャッチャーなら、その得意な技を活かせなくなるので、そこに配慮すべきだということだろう。

加えて、そういった盗塁や牽制などの技術が落ちてしまうという問題もある。

実際、いままでのルールに則って技を磨いている子供たちもいるので、これらの点を考えると簡単に盗塁を禁止するのは難しいことかもしれない。

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世間の声は盗塁禁止よりリード禁止?

双方の意見をまとめるとこんな感じになる。

盗塁禁止派の意見
  • ピッチャーやキャッチャーが肩やヒジを壊さない
  • 悪送球やパスボールのような失点がなくなる
  • ワンサイドゲームを防ぐ
盗塁あり派の意見
  • 盗塁や牽制で活躍していた子の見せ場がなくなる
  • 盗塁や牽制の技術が落ちてしまう

そこで全日本軟式野球連盟が検討しているのが次の通り。

  • 盗塁は1試合の3~5回まで
  • パスボールでの進塁なし

という盗塁禁止のルール化なわけだが、そこで次に紹介したいのが、盗塁禁止より『リード禁止』という世間の声だ。

 

たとえば、硬式球を使うリトルリーグ(少年野球は軟式球)では、盗塁はOKとしているが、ピッチャーが投げるまでリードを取る(ベースから足を離す)ことは禁止されている

同じく少年野球でも盗塁そのものを禁止するのではなく、まずはリード禁止くらいに留めておけば、走りが得意な子の個性を活かしつつ、盗塁の数を減らすことができるだろう。

このように段階的にルールを定めていくのはなかなか良い案だと思う。

少年野球でもリトルリーグでもそうだが、親としてはとにかく、子供が健全に野球を楽しみ、自己成長につなげていく場として親しんでもらうことを一番に考えているのではないだろうか。

特に小学生の体力や能力というのは1年違うだけでもかなり違うので、野球の本質的な楽しさを守るために年齢に合わせたルールの制限はあって然るべきかもしれない。

ぜひ段階的にリード禁止などから様子を見て、子供たちが健全に楽しめる少年野球のルールを作っていってもらいたいところだ。

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