ゾンビたばこの騒動に、第3弾が来た。

今度の主役は、カープの22歳・田村俊介である。

といっても、薬物の話ではない。

売人が仕切る飲み会で、セクシー女優と「寸止めキス」をしていた──週刊誌がそう報じたのだ。

キス未遂で全国ニュースになった野球選手はたぶん史上初だろう。

ただ、記事を読み進めてみると、この動画を撮っていたのが薬物を売っていた張本人だというから笑えない。

なぜ売人が、選手のそんな映像を持っているのか。

今回は第3弾で何が見えたのかと、カープの風紀の乱れ、そして「これはカープだけの話なのか」という嫌な疑問について書いていく。

例のごとく、週刊誌ベースの話と噂レベルの話を含んだ考察になることは、先に断っておく。

第3弾の名前は田村俊介だった

まず、ここまでの流れをざっと整理しておきたい。

  • 今年1月、元内野手の羽月隆太郎がゾンビたばこ=エトミデートの使用で逮捕され、球団を追われた
  • 羽月は「周りにも吸っているカープの選手がいた」と話したと報じられた
  • 7月、週刊誌が売人と選手たちの写真を公開し、矢野雅哉が一軍の登録を外された
  • 第2弾では、矢野と売人の親密なLINEまで出た
  • そして7月30日、矢野と前川誠太の自宅などへ警察の捜索が入った

検査は陰性なのに、なぜ疑いが晴れないのか。

そのあたりの理屈はこの記事で書いたので、気になる人はあとで読んでみてほしい。

溝口勇児とゾンビたばこ売人の関係…カープ選手に深まる疑惑の正体
ゾンビたばこは検査でバレない?カープ「陰性」なのに家宅捜索の謎 この騒動でいちばん人を安心させ、同時にいちばん人をモヤモヤさせている言葉がある。 「検査は陰性だった」だ。 週刊誌に売人との写真...

 

で、第3弾である。

今度出てきたのは、写真でもLINEでもなく、動画。

撮影は2024年の冬ごろ、場所は六本木のシーシャバーだったとされている。

映っていた場面が、なかなかすごい。

矢野が一青窈の『ハナミズキ』を熱唱するかたわらで、田村俊介はセクシー女優のA子さんと肩を並べていた。

テレビ関係者がテキーラ入りのショットグラスを手渡すと、A子さんが自分の酒を田村の口へ一気に注ぎ込む。

二人の顔はキス寸前まで近づき、そこへ「いいな~、いいな~」とはやし立てる声が入る。

その声の主が、売人の滝口涼介被告だったというのだ。

羽月にエトミデートを譲り渡した罪で起訴されている、あの男である。

いま振り返ると、この『ハナミズキ』の選曲だけが妙に切ない。

 

ちなみにこの動画、誌面やネットに公開されたわけではない。

僕たちが確かめられるのは、それを見たという記者の描写だけである。

それでも、名指しされたのが例の集合写真の3人のうちの田村だったことで、ネットは一気にざわついた。

予告の段階では「小園海斗か、田村俊介か」と騒がれていたからだ。

セーフもアウトも、そういう競技ではない気がするが、ほっとしたファンの気持ちは分からなくもない。

ただ、見るべきなのは写っていた側より、撮っていた側だと思う。

カメラを回していたのは売人だった

先に、田村本人の話を整理しておく。

「寸止めキス」自体は、褒められた話ではないにせよ、罪ではない。

「たしか彼女がいたはず」という知人の証言まで載っていたので、そっち方面の説教は必要かもしれないが、警察の出番ではないだろう。

動画の時期とされる2024年冬は、エトミデートがまだ指定薬物になる前でもある。

指定は2025年5月26日と伝えられているから、動画の中の出来事を薬物の法律で裁くことはできない。

そもそも田村に、薬物がらみの嫌疑がかかっているわけでもないのだ。

実際、8月3日の時点で、田村に捜索が入ったという報道はなく、球団の処分も出ていない

ここまでなら、よくある夜遊びスクープで終わる話だ。

 

引っかかるのは、その先である。

この動画を撮って、はやし立てていたのが滝口被告なのだ。

滝口被告の本業は、報道によれば、有名人や選手に女性を引き合わせる「アテンダー」だ。

その飲み会の中身が、週刊誌や女性誌でかなり具体的に報じられている。

  • 飲み会を1回開くと、選手1人から参加費として10万円を集める
  • そこから女性への手当や場所代、酒代を引いた残りが、滝口被告の懐に入る
  • セクシー女優や、いわゆる港区女子を呼び込み、界隈では「エロ飲み」と呼ばれていたという
  • 選手との写真や動画を「エサ」に、次の女性を呼び込んでいたとされる

報じられている中身が本当なら、これはもう飲み会ではなく、ひとつの事業である

会社の飲み会の幹事が、じつは会費で儲けていた──あの嫌な感じの、けた違い版だ。

 

選手は客であり、遊びの記録は商品だったということになる。

そう考えると、「いいな~、いいな~」という能天気なかけ声の意味も変わってくる。

あれは仲間の冷やかしではなく、撮影者の声なのだ。

楽しませて、撮って、次の集客に使う。

遊ばせ方まで含めて、ここまでよくできた仕組みだと、感心を通り越して薄ら寒くなる。

問題はキスではない。

キスの一部始終が、薬物の売人の手元に残っていることだ。

 

もっとも、ネットには「そこまで騒ぐことか」という声もちゃんとある。

正直、この感覚も分かる。

22歳が夜の六本木で羽目を外したくらいで、キャリアが傾くのは気の毒すぎる。

ただ、写真1枚ですら「会ったことがある」の名刺として使い回されていた疑いのある騒動である。

動画は、その比ではない。

写真と違って、動画は「どんな遊び方をする人間か」まで丸ごと記録してしまう

それを持っているのが、いま裁判を待つ身の売人なのだ。

風紀の乱れは矢野から広がったのか

ここで気になるのは、なぜ22歳の若手がそんな場の常連になれたのか、である。

週刊誌に載った知人の証言が、その答えをわりと具体的に描いている。

田村は「矢野の子分のような立ち位置」で、東京・港区のバーで頻繁に一緒に飲んでいた、というのだ。

そしてその場には、いつも滝口被告が同席していたとされる。

 

思い出したいのは、第2弾で出たあのLINE。

「明日品川に泊まるので明日行けますか?」

誘われて断れなかった、ではない。

遠征の日程に合わせて、自分から段取りをつけていたと報じられているのだ。

矢野と滝口被告の交友は2024年の夏ごろ、矢野の大学の後輩を通じて始まったとされている。

気づけば矢野の周りには、かわいがられる前川がいて、子分と呼ばれる田村がいた。

結婚して子どももいる矢野が夜遊びの常連で、彼女がいたはずの田村もそれに付いて回っていた──証言はそんな調子である。

おいおい、とは思う。

ただ、これも本人たちが認めた話ではなく、あくまで週刊誌の知人証言だ。

 

それでも構図として嫌なのは、この輪の真ん中に売人がいたことである。

兄貴分に付いていくと、その先にアテンダーの個室が待っている。

見回りの先生が来ない修学旅行の夜のようなもので、若手が自力でブレーキを踏むのは相当むずかしい。

プロ野球選手の夜遊びなんて昔からある話だが、昔と違うのは、遊び場の主催者が商売として記録を残していることである。

 

では球団は何をしていたのかというと、これが例の調子だ。

週刊誌の報道には「コメントすることはない」を貫き、調査は自己申告頼み。

その帰結が7月30日の家宅捜索であり、松田元オーナーの涙だったことは、前に書いたとおりである。

広島カープ・ゾンビたばこ騒動…溝口勇児との交友が嫌がられる理由
広島カープ・ゾンビたばこ騒動…溝口勇児との交友をファンが嫌がる理由いま広島カープが、たばこの煙にすっかり包まれてしまっている。 きっかけは、元内野手の羽月隆太郎が「ゾンビたばこ」に手を出して逮捕された...

一部の報道では、オーナーが激怒して、矢野に無期限の3軍降格を指示したという話まで出ている。

身内への対応は電光石火なのに、世間への説明はいまも囲み取材のまま。

その順番の付け方に、ファンの不信は積もっていくのだと思う。

ドラフトで広島だけ避けられるのでは、という意味である。

大げさに聞こえるが、高校生の親の立場で想像してみると、笑い飛ばせない話だ。

世間は田村より女優を探している

ここまで書いてきてなんだが、じつはネットの反応の第一波は、怒りでも失望でもなかった。

返ってきた第一波は、まさかの女優探し。

もはや田村の名前すら、どうでもよくなっている。

報じた側は複雑だろうが、これが世間の正直な温度感なのかもしれない。

選手は実名で書かれ、女優は匿名で守られる

この非対称に文句を言う声が出るくらい、みんなこの騒動を娯楽として消費しはじめているのだ。

 

笑いの方向も、だいぶ自由である。

順位争いまで寸止めに例えられたら、もう返す言葉がない。

 

ただ、笑いの下に沈んでいる感情も、ちゃんとある。

そう、田村俊介は2024年に井端弘和監督の日本代表へ呼ばれた男なのだ。

去年の春には、プロ初ホームランを代打サヨナラ弾で決めるという、漫画みたいな一発も放っている。

それほどの素材が、今年は5月に一軍へ上がって4試合で結果が出ず、以降はファーム暮らしが続いていると伝えられている。

グラウンドでの主役はまだ先なのに、夜の個室ではすでに主役級だったわけだ。

昼の球場で無名なうちに、夜の六本木で先に主役になってしまった

ファンが呑み込めないのは、キスそのものではなくて、この配分のほうだと思う。

カープだけのはずがない、は本当か

最後に、いちばん嫌な疑問の話をしたい。

滝口被告は「プロ野球選手を40人ほど抱えている」と豪語していたと報じられている。

この数字が球界全体にとってどれだけ不気味かは、前にたっぷり書いた。

ゾンビたばこはカープだけ?売人の「40人」発言と球界の不安
ゾンビたばこはカープだけ?売人の「40人」発言と球界蔓延の噂について ゾンビたばこの一件は、どうやらカープだけの話では終わらないのかもしれない。 元カープの羽月隆太郎が「自分を含めて6人が同じ人物から...

 

第3弾を読んで、僕はこの「40人」の見え方が少し変わった。

40人が全員、薬物の客だったとは考えにくい。

だが、アテンド飲み会の客が40人、という意味ならどうだろう。

参加費10万円の飲み会を回すビジネスなら、顧客名簿が40人いても不思議はない。

そして客が40人いたなら、あの夜のような写真や動画も、40人ぶん存在しうることになる。

他球団に広がっているのは、薬物より先に「記録」なのかもしれない。

 

実際、ネットの空気も同じ方向を向いている。

「絶対他球団もやってるのにカープだけバレてるの違和感ありすぎだろ」

「他の球団は揉み消したのにカープだけターゲットにされたのでは」

こういう声が、それなりの数で流れているのだ。

揉み消し説に証拠はないし、「ここまで書けるほど証拠を掴めているのが広島くらいなのだろう」という冷静な見方もある。

それでも、他球団のファンが祈るような投稿をしているのが、なんとも切実である。

「もう、Aクラスとか諦めるから。中日ドラゴンズからゾンビたばこ使用者が出ないことだけ祈るわ」

「ヤクルトに出ちゃったら、『ちな薬』で自虐するしかない」

これは「ちなヤク(ちなみに応援はヤクルト)」という自称をもじった自虐である。

冗談の形はしているが、目は笑っていない。

 

結局のところ、ファンの望みはこの一言に集約されるのだと思う。

膿を出し切るまで、週刊誌の「独走」は続くのだろう。

 

田村本人は、いまのところ何も語っていない。

球団も、週刊誌の取材には答えていないという。

そして売人の手元には、こういう動画があと何本残っているのか。

次の第4弾で出てくる名前が、カープの選手だという保証は、どこにもない

続報が気になるところだ。